― 城門 ―[いつしか、兎は月光の下。ふと空を見上げ、耳を揺らした] ………、…[追っていた筈の鴉の気配を探すのではなく、きょと、と赤い目を瞬かせて後ろを振り向く。月光の降り注ぐ閉ざされた門。そこから出て来た。周囲を見回し、鼻をひこひこ。それから前肢の匂いを嗅いだ] …… …… っ