[彼の翼の端が焼けて落ちる>>33のを視界に捉え、深い青の瞳に涙の膜が張る。
自分に天界に踏み入る意思がないからか、それともジークムントが庇ってくれているおかげなのか肌を刺すような痛みくらいしかないけれど。
生半可な痛みではないはずなのに。
止めなければならないと思うのに――]
……っ!
[そんな思いに反して、彼に縋るかのように手には力が入る。
天界の清浄な気はやはり自分の意思に関係せずこの身には毒になり、浅く息を吐いて。]
…ゲル、ト……?
[どこか遠くに聞こえる声>>35の持ち主の名前を小さく呼ぶけれど、きっと彼女の耳には届かなかっただろう]