[数時間ぶりに足を踏み入れた宿屋には朝食の匂いが薄く広く漂っているように思えた。足は止まる。そういえばニコラスを探しに談話室を出て以降何も食べていないことを思い出しつつも、]朝食を作れる人がまだ生き残ってるんだ……へえ。[呟くのは別のこと。そうして談話室に足を踏み入れる。エルナとしては何食わぬ顔でいたつもりだが、実際にはじゅうぶん、思いつめていると表現できそうな顔で。食べ物にも飲み物にも手をつける素振りは見せず、しばらくの間、じっと座っていた**]