[静かに息を吐いたあと。
艦内放送のスイッチを入れる──艦内各所のスピーカーから、電気的接続を示す一瞬のノイズが走る]
──こちら、電測班長のクレマンソー大尉だ。
通信長ゾンダーリング中佐の戦死により、残留通信科員の最先任として、艦内放送を実施する。
──艦内残留の総員に達する。
衛生科のブルーム曹長が、通信長を殺害して逃走中。
各員は武装の上、警戒に当たられたし。
これを発見した場合、無警告での発砲を許可する。
なお、ブルーム曹長は主計課のタラクト一等兵と行動中。
一等兵の立場は不明ながら、通信長殺害に伴う状況証拠より、工作員の疑いあり。
タラクト一等兵の処置についても、ブルーム曹長に準ずるものとする。
両名の拘束でなく、無力化を目的として発砲してよろしい。
[この場合の無力化とは、事実上の射殺命令に近い]