[棘へと指腹で触れた。
握り締めると、薔薇よりも黒い緋色が滴り落ちる。]
私は――… 正直に言おう。
リエヴルが何を考えているのか解らない、
その一番のきっかけがディークの存在、だった。
リエヴルがディークに利用されているのでは、と…
ブランらしさを感じる者からの消去法もあったが…
ディークへ、その懸念を感じて票を投じた。
そして今日の結果を見る限り、ディークはレトへ投じている。
自分と繋がりの深い、信じたい相手のひとりだったのではないのか?レトは。
リエヴルとレトは互いに負感情を抱いていたようなので、
リエヴルのレト票に不審さはない。
けれど、これはオズワルドの言っていた
"割と露骨な共闘"にも見える。
[花弁を口腔へ含み、咀嚼した。
毒々しいほどの美しさを持つのに血の味は、一切しなかった。]