― 回想:例えば運命を信じるなら ―
[どうして今こんな状況になっているのか、という所から始めよう。
始まりは一つのブームからだった。それは誰かに聞いたのか、それとも何処かで見たのか。
『君は天使を飼ったことがあるか。人生が変わるぞ』
その一言だった。高貴な種族である龍人族が天使など飼うものか。そんな風に鼻で笑っていたのが懐かしい。
天使と魔族とは相容れない間柄なのだ。今更飼おうにも敵対している2つの種族が順化するだなんて馬鹿馬鹿しい。]
……そうじゃなぁ、天使かぁ
[とは言いつつも、高貴とは大分離れた龍人族であるソマリは幾許か興味があった。一度も見たことの無い存在。美しく、気高く、魔族とは相容れないとは話に聞いていた。
もし、そんな存在を飼うだなんて出来たら。そうだな、カードやボードの遊び相手くらいになってもらいたいものだ。程度にしか考えていなかった。
―― 本物の天使を見るまでは。]