― Prologue/王宮・第二王子私室 ―
ああ。それでは法と制度で上手くバランスをとっているのだな?
なるほど、分かった。我が国にはない考え方だ──…。
[柔らかな光が窓から差し込み、書架と、その傍らにある机と、その上に広げられた書物と、それらを覗き込む人間たちの姿を淡く照らしている。
第二王子ウェルシュの私室の一角。そこは壁際に本が並べられ、書見用の机と椅子が設えられ、あたかも小さな図書館といった風情であった。その場所に今、部屋の主の他の人影がある。部屋の主はといえば、熱心に書を覗き込みながらもう一人の話に聞き入っていた。]