[アンドロイド達に、自分の情報が確認されているとは知らず>>35、
もう十年近く前になるだろうか、飛び出した研究所のことを想う。
博士がアンドロイドに関わる研究をしていたのは知っている。
けれど、どんなに頑張っても、もっと手伝おうとしても、
大切なことは、教えては貰えなかった。
研究所の中、自分には出入りを禁じられた区画で、
博士が、あの人が…本当には何をしようとしていたのか……。
一瞬だけ胸奥の痛みを堪えるように、ぎゅと瞼を瞑った後、
ふいに、繋がった通信から聴こえた声>>35。
本来なら、操縦士であるトールか誰かが、
受けるべきだったかもしれない。
が、この緊急事態だ。
咄嗟に、救難要請が口をついて出た]