― 庭園 ―
[「評価できます」なんて言ってのけた神父さま>>30、それはきっと本心なのね。
その様子にわたしは苦笑を浮かべます。
「特別扱いされたいって、思わない?」
ふと沸いた疑問を口に出すのも卑しい気がして、頭を振って消しやりました。
ずれた眼鏡を両手で直しながら、神父さまの続く言葉>>31>>32に耳を傾けます。
彼の立場であるならば、不思議な死体を見ることもあったのだろうと思います。
それにしても、「旅」。]
ねえ神父さま、旅の先では、人狼はやっぱり悪さをするものだったのですか?
狼のお話は、いつだって狼が悪者で終わるものばかりだから、気になって。
[わたしの知る人狼のお話は、いつも人間に対する警告で終わります。
ヒトにまぎれる奴らに気をつけろ、よそ者を簡単に信用してはならない、と。
神父さまの旅の話は、詳しく訊ねたことはありません。
人狼騒動が無ければ、こんなことを聞くきっかけも無かったのかと思うと、なかなかに皮肉なものですね。*]