[その店内で簡素な朝食をとりながら、
エルナはなんどとなく欠伸をかみ殺していた。
昨夜、今冬のための厚手のズボン作りの依頼をようやっとこなし、
これでゆっくり眠れる! とまで思っていたのだが、
立てつけの悪い窓からの隙間風のせいで目が覚めた。現実はなかなか厳しいものである]
これで頼まれてた分は一通り済んだけど……ううん。
大丈夫かって言われると……あたしの、冬支度。
―――ちっとも大丈夫じゃなーい!
[暖炉の火があかあかと揺れる室内で吐くため息は白く凍らない――が。
先の言葉の通りまだ完璧とは言えない己の冬支度のことを思えば、
身も凍るような心地が僅かにする]