僕は、君の最後も笑顔がいい。
言葉を発せなくなってからも、表情を浮かべることができなくなってからも、笑う君が愛おしい。
君の信じる神様とやらが君を連れて行くまでは、皆に見送られながら笑っていて欲しい。
それ以外の最後は認めないし、迎えさせない。
だからごめん、それまで生きて。
あとの一人を連れてくるから。
[彼女を担当する医師が聞いたら卒倒するのではないかという程の傲慢を吐けば、男は自分の指を噛み、それから眠る彼女の額へと口づけを落とす。
それを境に、眠れる老女の呼気が安定した事を見て取れば、男は来た時と同じように彼女の部屋を後にした]