[主人の船室の前まで来ると、一呼吸置いてドアをコンコンとノックした]
奥様、おはようございます。
朝食の準備が出来ましたが、こちらでお食べになられますか?
はい、かしこまりました。
それでは、本日はビュッフェへ参りましょう。
何だか嬉しそう――奥様にはそうお見えになりますか?
ありがとうございます。お仕事の時間の外は自由にしていいとおっしゃっていただけたので、例のゲーム等に参加していたのですが、恥ずかしながら、すっかり夢中になってしまいまして。
えっ…! まあ、泳ぎをご覧になっていらっしゃったのですか。ええ、はい、学生時代に少し……。いえいえ、とんでもない。そんなお気遣いまでしていただかなくても……。
[女主人に付き添いながら、食堂へと向かっていった]
[今日は到着の日。あと一日は、また船上での仕事だ]