旅人 ニコラス

[人前にも関わらず盛大にうろたえたあと、ゲルトの手を引いて助け起こそうとしてから、大輪の花が咲いたような笑みを浮かべた。]

僕の方こそ、ゲルトに出会えてよかった。

君が僕の友達になってくれたときから、僕の人生は本当の意味で始まったような……ううん、絶対そうだと言える。

だからね？

[ゲルトの両方の手の平に、自分のそれを重ねるようにしながら、親友だけに聞こえるよう囁いた。]

これからは一緒に幸せになろうよ。君がもっと笑っていられる世界へ、僕は行きたい。*