殺しに来てくれたわけではなかったの。
もしかしたら、貴方は私の息を止めに来てくれるのかと思っていたのに。
私は、
〜〜〜 わたし、は………っ
[足が縫い止められたように動かない。ウェルシュは、前に進むことも後ろに逃げ出すことも出来なくなってしまった。
ただ立ち尽くしたまま、声には嗚咽が混じりこむ。それを押さえようと、これだけは自由に動く手を口元に強く押し付ける。
かつてであれば、無邪気に彼の手を取れただろうか。
心のまま、明るく彼に微笑みかけられただろうか。
けれど今、足元に絡む蔦はあまりに重く。心を押し殺した絶望は、覗き込んでしまえば足竦むほどに深すぎて。
ウェルシュは目前の人の顔を見ることも出来ずに、声を殺して立ち尽くした。*]