― 魔軍陣営 ―[獲物を手に帰還した魔は、実のところ少々疲れていた。それはそうだろう、滅多にやらぬ立ち回りを演じた挙句に(僕をして珍しい。と思わせたほどだ。)、膨大な魔力を消費したのだ。ある程度までは自ら望んで溢れさせた魔力であったが、それにしても、この獲物───ロー・シェンがつけてくれた傷は、中々のモノだった。これも精霊の加護の賜物か。微妙に塞がりきらぬ傷のあとから、今も僅かに魔力を染み出させ、魔は僅かに肩を竦めた。時間がたてば収まる。ただ、少しばかりの時間は必要となるだろう。]