[“ドロシー”
投票を迷う際、一度スノウを呼び出して名を聞いた彼女が、楽器を弾く人だったと知れたいま。
彼女が人狼であったかは知る術は彼にはないが、心臓の奥がきり、と痛んだ。
彼女こそ人狼ではと真っ先に浮かび、強く疑いもした自分がそれを思うのは、酷く烏滸がましい感情では、ある、が。
増して――…
実際にどう思うかは、分からないけれど。
もし彼がそのことを知ったら、もしかしたら、ひどく悲しませることもあるのではと。
一瞬だけぎゅっと眉を寄せて、その名を告げることはしなかった。]
ああ、そういや言ってなかったな。
シメオン・ウォークス。
こっちこそ、話の途中に、悪かったな。
了解、会ったら伝えとくよ。
[問われればそう名を告げて、踵を返して廊下へと]*