― 某日の城館・??? ― バランの居場所? 言ってもいいし、言わなくてもいいよ?[評議会の城館内、バランを手引きした者《裏切り者》の部屋にて、男は部屋の主が座るべき場所に座り、数枚の書類を検めている] 目的はマスタークラスの心臓、ねえ。 僕が数に入ってるあたり、下調べもしなかったんだろうけどさ… [部屋の主は男の前に這いつくばっており、言葉を紡ごうにも……その口には男の爪先が差し込まれているために、声は疎か息を吐くのも困難という状態] この取引、バランが守ってくれると本当に思ったの?[息をしようと藻掻く上級吸血鬼《這いつくばる男》の犬歯が、男の爪先を傷つけたのだろう。神の血を受けた吸血鬼の声にならない悲鳴が部屋に響いた。]