どんな服にしよう?
好みがわからないし、似た感じでいいかな?
[窓際に置きっ放しの椅子をテーブル代わりに、床に座り込んで。
大きな裁ち鋏を片手に布とにらめっこしたのは僅かな間だけ。
採寸も型紙も、下書きも無しに、けれど迷いなく正しく布を裁断してゆく。
自分が胸を張って「出来る」と言える事はこれだけだけれど、
だからこそこれだけは完璧だった。
洋服を作ること。それこそが自分の天職。
けれど、鋏を持つのも、針を持つのも、何だか久しぶりだった。
夢中になって、夕方までに少しずつ違う似たような服を4(6x1)着仕立てて、力尽きた。
そんな事をしていたから、夕食時にはぐぅすか眠っていただろう。けれど、なんとなく満足気だった**]