― 翠の記憶 ―[ミリエル。ミリエル・クラリス。そう名乗った翠の妖精は、微笑むだけで世界を色鮮やかに変えた。あのじじい(失礼)にこんな孫がいたなんて。幼い心に驚きを刻んで、一歩だけ、彼女に近づいた。彼女と同じ中庭の上に立って、同じ陽の光を浴びているだけで、胸の中がざわざわした。]