君に私が教える最初の禁忌だ。
―――…君へ私が与える最初の罪だ。
[謳うように閃く唇、触れそうなほど近い鼻梁。
左手は彼の腰を抱き、赫の眸は彼の蒼を覗きながら、腹を右の五指で緩く撫で上げた。]
泣いても構わないよ、処女らしくて興が乗る。
[緩慢に重ねる唇は、穏やかなものだった。
月光が彼の口唇に触れる程度の柔さ。
作法を知らずに動き出すのは、彼の背に纏わせたままの泥。
ぞわりと威勢を増すのは、枷以上の役目を帯びたが為。
質量を増した泥が、彼の背中を覆うように広がり――、
翼の付け根ばかりではなく、その天衣の下までも侵食。
何処か冷たい闇の泥が、脇から彼の形を確かめていく。]