人狼物語−薔薇の下国

497 堕天の服従試験


邪眼の怪物 クレメンス


 君に私が教える最初の禁忌だ。
 ―――…君へ私が与える最初の罪だ。

[謳うように閃く唇、触れそうなほど近い鼻梁。
 左手は彼の腰を抱き、赫の眸は彼の蒼を覗きながら、腹を右の五指で緩く撫で上げた。]

 泣いても構わないよ、処女らしくて興が乗る。

[緩慢に重ねる唇は、穏やかなものだった。
 月光が彼の口唇に触れる程度の柔さ。

 作法を知らずに動き出すのは、彼の背に纏わせたままの泥。
 ぞわりと威勢を増すのは、枷以上の役目を帯びたが為。
 質量を増した泥が、彼の背中を覆うように広がり――、
 翼の付け根ばかりではなく、その天衣の下までも侵食。

 何処か冷たい闇の泥が、脇から彼の形を確かめていく。]

(36) 2018/03/21(Wed) 00:37:59

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