― スラム街 ―[一人になったところで太めの尾を大きく一度揺らす。その動きに合わせ、足元の影が小さく盛り上がり、数体の獣の姿を取った。猫ほどの大きさで、耳の房毛が特徴的なそれ。完全変化した時の自分の写しだ]んー……やっぱ今はこれが限度か。安定しないなぁ。[自分にしか分からない内容の呟きを零し、写しを各地へと散らせる。結界の範囲と、誰が取り込まれたかを把握するためのもの。誰かと遭遇しても一定の距離を保ち、観察するように遠巻きに眺めるだけの存在だ]