[そのシラーはといえば、今は魔の理が支配する地となっている。
モンテリーが落ちたと聞いて、分け前を得ようと山脈の北から流れ込む邪悪な亜人たちは、そのほとんどがシラーを目指していた。
かの地を任されているものたちは魔王の期待に足るものたちで、魔王不在の中でも街の秩序は一応保たれている。
もっとも、支配される人間の側にすれば、すぐに殺されるか管理された後で殺されるか程度の差だったかもしれないが。
こうした流入勢力や奴隷たちの働きで、シラーは目下大いに作り替えられていた。
質実剛健という言葉が相応しかったシラーの美しい街並みには、今や悪魔的な装飾が随所に付け加えられ、奇怪な兵器や物々しい監視塔が組み上げられつつある。]