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おーおー。
やってるやってる。
[帝国軍の拠点を抜け出していた男が、渡河作戦を少し離れた場所から眺めていた。
リエヴルに従い、帝国軍の拠点内で着ていた軍服はすでに脱いでいた。
今着ているのは、ニコラス中佐から手渡された、公国軍特務大佐の階級章がつけられているもの]
――さて、それじゃあオレもそろそろ行ってきますよ、っと。
『ああ、君の好きなだけ暴れてくればいい。……今度は、帝国兵相手にね』
[後方部隊所属のニコラス中佐は、戦闘に直接出る事はしない。
ただ、父の子飼いの男の手綱を握り、隠密わんこを預かっておくだけだ]