― 回想・ある街道で ―
……はい?
[生まれ故郷を飛び出して幾日過ぎた頃か。
唐突に現れた彼女>>15に対し、最初に口を突いたのはこんな言葉だった]
えー……っと、どちらさま?
てか、人違いじゃないかなあ。
[なんて誤魔化そうとしたものの、通じなかった。
何とか撒こうとしたものの、相手の方が上手だった。
最終的には諦めて着いてくるに任せて。
けれど、後ろ向きなこちらを『勇者』と呼んで鼓舞する様子に。
少しだけ前向きになれたのもまた事実で。
そんな経緯もあるから、この巫女には頭が上がらない、というのは、ちょっと余談としておこう。*]