お手柔らかによろしく。[片手を額に掲げ、やわらかな笑みと共に敬礼を向けた。成績優秀であった彼女とは異なり、ディークは座学が苦手だ。落第するほどではないが、優秀というには程遠い。いつも”ほどほど”の成績を収めるディークが得意とするのは、武術だった。気がつけば大体毎日、練武場へと足を運んでいる。得手不得手。というより、単なる好みの問題であろうか。その教官との付き合いも、いよいよ卒業となれば終わりとなろう。無論、無事試験を突破し卒業出来ればの話だが]