[その男は図書別室で、古ぼけた本をめくっていた。
とある宗教の聖典と呼ばれるもの。
人間界の節目で何度か大きな編纂が為された宗旨の、
残るところ、切り捨てられた所、また新たな解釈を加えられた所を時代別に考証して、これからの変遷を予測する。
分析官としての目下の目標を何にしているかと聞かれれば、そう答えるだろう。
気になっていた所の確認が終わり、本を閉じれば、脚立を使って本を元の場所に戻した。
強張り気味の肩に手を乗せる。
そろそろ休憩、と分析の経過を纏めたファイルを手に廊下に出れば、
慌ただしく廊下を歩くマーティンが、ファイルの提出用書棚のある部屋に入っていくのが見えた>>22]