―古城近くの森の中―[少女はどうにかこうにか完食した林檎の芯をぽい、と捨てた。そして、古城へと向かう道すがら見つけた小さな沢に歩み寄る。ヒトの食物を口にしたところで水を必要とすることはないのだけれど。人間だった頃の習慣のままに水を掬って口元へ持ってゆき、こくりと嚥下した。]……ご馳走様。[同じく習慣のままに身だしなみを整えようと、鏡代わりに水面を覗きこめば、(ああ、そうだったわ。)鏡面は少女を映し出すことはない。さらさらと無垢に流れてゆくだけだった。]