ゲルトさま。
[先客が居た。>>29
天使でありながら黒き翼を背負う天使と言えば彼しかいない。
神に背いた証である翼は、艶めいてさえいる。
けれども彼も今一度主を信じた者だ。…それでも、僅かに表情が曇る理由は彼女の心にのみ存在する。]
フェリクスさん。
どこか痛いところはありませんか?
衣服やシーツは汚れていませんか?
遠慮せず、何でもおっしゃってくださいね。
[一旦下がった方が良いかもしれないが、食事が冷めてしまうのは避けたかった。
ゲルトに一礼してから、檻の下にある差し入れ口を持っている鍵で開き、トレイを押しだす。
常と変らぬ語りかけをし、問題がなければ求められた物を取りに行き、なければゲルトとの会話を邪魔しないよう、そのまま場を辞すことになるだろう。**]