― 昨夜、処刑前 ―
[人前でこうして泣くのは生まれて初めてだった。公然と自分の感情を曝け出したのも初めてだっただろう。オットーの前で泣きたくなんかなかった。もし此れが最後だとするならば尚更情けない姿をこれ以上晒したくなかった。
けれども溢れる涙を止められなかった。だって、こんなにも辛い。悲しい。――淋しい。
重たくて大きい、幾重にも重なったうねりの感情が自分の中から溢れ、その激流に押し潰されそうになる。
胸が苦しくて、喘ぐように嗚咽を漏らす。そうして涙と一緒に重たいものを吐き出すにはいられなかった。
目の前の幼馴染を失いたくないという想いが溢れて止まらなかった。]