[ 再び慌ただしく
出ていく軍靴>>31を見送って
――――… ふ と表情を剥いだ。 ]
……憎悪に囚われた人間は、
"出来るだけ"のうちに入らない。
[ 哄笑が続いていようと、いまいと、
覗き見をする画家に気を払っている余裕なんて
誰しも無いように見えたから。
まるで悲鳴のような叫び声>>32に
ぎゅっと強く一度だけ目を瞑って広間の隅へ。
そっと水差しに近付いて、
伸ばした指の先から滴を振り落とした。
話合いが続くならばそれでよし、
中断されたまま終わると言うならそれで
侍女の服を着た密偵の一人に後ろ手に小瓶を渡す。
"然るべき場所に仕掛けてくるように"、と。 ]