[眇めるような目線で、見る。レディの視線を受け流して]
この国の負の遺産しか眠ってないさ。
常人が入れば変死をするか気が狂うかのどっちかだし、レアメタルの噂は他国で利権を狙うもののために用意された甘い罠だ。
そういう奴らは、国を脅しかねない。小さなこの国をな。
――態のいい死刑場だよ
俺が散々はぐらかして来たのはそのためだ。
[事実。この領主が領主として就くまで死刑場のように、活用されているのをクレステッドが手配してやめさせたのが真実だ。]
それでも良かったらやるよ。
主国の連中も大喜びだ。――何せ外部が勝手に、処理に困るもの受け取ってくれるんだからな。
[カツ、カツ。
無抵抗な姿で、イングリッドに詰め寄ると権利書を差し出した。
イングリッドは受け取ったか否か。]