[実際にそうしたから、いま持っているこいつだって二代目――と、さすがにそれは口にすることはなく。微かな光は奥に深い、赤い瞳をふと伏せて、自嘲気味の声を。恐らくは訪れるものもないだろう、ぽっかりとした倉庫から、人が行き交い微かに熱のあるだろうこの場所に、態々楽器を運んでくるような男が、その言葉をどう思うかは、見当が付くようで――あるいは、付かないようで] 俺よりは、そうだな……[ふと、視線が彷徨えば。サロンの離れた場所、壁際に凭れて眠るトールの姿に目が留まったけれど。>>10]