― 濁流の谷間 ―[出発の号>>26を受け、蒼龍は再び殿として隊に続く。先頭を行く朱雀の朱翼が導となり、陰気渦巻く地へと。陰気と共に高まる水気。ここが水量誇る渓谷だとしても、その高まり方は尋常ではなかった]────起風《チィフォン》![陰気と水気が一際強く感じる箇所へと足を踏み入れた時、それは起こった。隊を飲み込まんと押し迫る水は明らかに害意を抱くもの。咄嗟、紡ぐのは風を呼び、身を宙へと押し上げる術。一人くらいならば拾い上げることが出来るのだが、手が届いた者はあったかどうか]