─ プラメージ王国野営地 ─
[届く報、交戦の状況は正直芳しいとは言えないもの。
平原南に向かわせた隊の伝令からは続報があったか、少なくとも逃走を示唆する程の数を相手取っているのは把握している。
彼らの後に続く部隊の出立を早めはしたが、義勇兵たちと敵部隊との接触までには間に合うまい。
それから北西、手持ちの盾兵を援護に回した部隊は次陣と交代は出来たようだが先陣を務めた隊は半数程残っていれば良い方だろう。
元より実力、経験共に凌駕している兵を相手どるのだ。
多少の痛手を食らうのは覚悟していたけれど]
……敵討ちなんてことは、考えてくれるなよ。
[あの隊はまだ兵役から明けてもいない者が多く居た。
連携の取りやすさに重きを置いた編成は、その分情に流されやすくもある。
脳裏に浮かぶ、まだ若く清廉さを感じさせる隊長の顔に、無意識紡いだ呟きを掬い上げてくれる者は今、側にいなかった*]