[あの郷の中で、ユウはかなりの腕白坊主だった。
路地を駆け回ったり、同年どころか年上の相手と腕試しをしたり。
氷樹を登って高みの見物なんてことも良くやっていて。
あの日も、追いかけっこの鬼から逃げる為に郷の中でもかなり高い氷樹のてっぺんまで登っていったのだが]
あ、しまっ…!
[つる、と滑った足が枝から外れて。
しくじったと思った時には、もう身体がふわりと浮かんだ感じになって。
父との鍛錬中に投げ飛ばされるのと同じだがより強い感覚に、これはまずいと直感した。
この高さから落ちることは初めてだから、せめて急所は守ろうとぎゅっと身を縮めて受ける衝撃を覚悟していたのだけど]
────…っ…?