山の麓にある集落に、小学校と中学校の分校があったのね。集落の子供は皆そこで勉強して、遊ぶ場所って言ったら学校の裏手にある山と、山から流れて来る川くらいしかない。獣道を進んだ山奥には、信仰も廃れて訪れる人もいなくなった…所謂忘れ去られた祠があった。その集落に住む小学生の男の子…Aくんって事にするわね。――は、山奥にあるそれが祠だって知らずに遊んでたの。山奥に行ったら駄目だって大人にきつく言われてるのにね。でもA君は人目を憚る必要があった。