― 庭園・東屋 ―
[ 幸いにも折れた筆で怪我はしなかったけれど
話し相手が立ち去って暫らくしても
代わりの筆で絵を描く気にはなれずに
どうしたものだろうかとぼんやりしていた時。
見知った顔が入って来たので>>23 ]
……構わないよ。
ちょうど絵を描くのにも疲れてきたからねえ
日光浴でもしてゆっくりしていくといい。
一か月程度待たされて怒るほどボクも器は小さくない。
[ 極力常のように言葉を返し、
紅茶と――それから茶飲み友達に
出すことの多い焼き菓子を出して勧める。
一か月程度、と、態々口にするほどには
遅れたことについて気にはしていたが
怒っているわけでは決してない。
むしろ自分に苦手意識があるらしいと見える
彼が此処を訪れるのが珍しいとすら思いながら
自分の分のティーカップを持ち上げたところで、 ]