じゃあ、行きます―――。
[駆け出しながら、そういえば、と、あることに気づく。
どうして自分が彼を追いかける、という課題ではなかったのだろう。
どうして自分が勝てたらご褒美、というものではなかったのだろう。
そこに彼の性質が覗き見えそうで、思わずぞっとして首を振った。
雑念を振り払うようにスピードを上げて、足場が悪い平地から隠れやすい森林内に方向を変えて]
ゲオルグさんが暗視スコープか、サーモグラフィカメラでも持ってたら、一発負けだよな…。
[それなら他の訓練生の中に紛れた方がいいのかも、と思いつつ、誰かとすれ違うかもな、と走り続けていた*]