-春の祭の終わり-
――――……ッふふ、捕まえました。
[>>0:133 アレクシスは誰かを路地裏に追い詰める。
巫女姫の奇襲を掛けようと画策していた”虫”は、今や袋小路である。
アレクシスは平均よりやや上程度である、そこまで足は速くない。
然しそれでも確実に、追い詰めるだけの、土地勘は充分にあった。
そいつは言う、『お前どこかで見た顔だな、まさか』]
さぁ…… 私なんてただのしがない学者ですよ。
人違いじゃないですか?
なに、今は殺しません。
少しずつ、羽根を捥いでから殺す方が楽しいでしょう。
[相変わらずの穏やかな口調のまま、一歩近づく。何処かで蜂の音がする。そして細い目をさらに細くさせ、優美に髪を撫でながら、声を一段下げる。]