− 魔界温泉郷 −[空間がひずむのを感じ、視線を向ければ、幾重にも重なった岩の上に、翩翻と外套をひるがえして佇む姿を見つけた。>>25遠目にも、彼ではない。おそらくは、人ですらない。ここで指輪を外すのは躊躇われ──ハッ、と気づいて指輪を嵌めた指を逆の手に包み込む。純粋な銀は変化しやすい。ここの風に長く当てては籠められた加護を失うかもしれなかった。**]