―収容施設―
[人の世の収容施設のように厳しく罰することなく、そして捕らえた者を番号で呼びあたかも物扱いをすることもない。
主の愛を信じ、善き心となるよう導く為には、罰するだけでは駄目なのだ。
一括で管理し家畜に与えるエサのように食事を配布するのではなく、その人に付いた世話係がこうして手ずから運び入れるのにも、理由がある。
自ら志願し捕虜の世話係となった彼女は、主に彼の世話を任されていた。]
お待たせしました、フェリクスさん。
[途中、彼を訪ねていたらしい天使>>26と行き合い挨拶と礼を交わす。
その背中に白く輝く翼は、自分の背にはない。
僅かに表情を曇らせたが、檻の前に立ち中にいる彼に声をかける際には片鱗も残さなかった。]