[怪我人を見送り、配置に戻る部下達を見送る中、蒼褪めて不安げに瞳を揺らす下士卒が此方を見ているのに気付けば僅かに肩を竦め。]
俺達のやるべき事は決まっているだろう。
目を使え。それが俺達の仕事だ。
[かつて下士卒だった男も、上司や曹長にそう言われたものだ。
それでも不安を拭えない様子の部下を見て、後は…と首を緩く捻ってから。]
…そうだな。後は人参沢山食っとけ。
飯もバランスよく食う事。
俺達が業務に励む事が出来るよう、主計の奴らが丹精込めて作っている。
[健康的に考えても恐らくそれで間違いないだろうと思う。
料理にはそれ程明るくない男から言えるのはそれくらいか。
艦内暮らしはもう5年以上になるが、それで不自由を感じた事はない。
日常を思わせる言葉に下士卒の表情が少し綻ぶのを確認すれば、活を入れるようにその背を叩き、配置に戻るよう促した。**]