あ、ごめんごめん。図書館では静かに、だね。[こじんまりした図書館――館というより小屋に近い――で発した声が意外に大きくて、書物管理係のクララにじろりと睨まれ、青年は笑ってごまかした。]でもさー、この物語、面白いんだよ。居もしない人狼に惑わされて、大混乱する喜劇モノで…。ああ、はいはい。借りて家で読んでくるってば。[下手をすれば笑いだしそうになる青年を、騒ぎそうだからという理由でクララは追い出した。]