[顎を開いて噛み千切ろうとした鼻先を、鞭がしたたかに打ち据えた。ムギャ、ともグォとも取れるような悲鳴を上げて、顔をしかめた虎が後ろに飛び退る。戦い慣れしていない若い虎には存外の衝撃で、恐慌をきたしてバルコニーを飛び越え、一散に逃げて行った。*]