[こんな状況に陥って、尚。
人狼を――死を恐れないていないように見えるオットーは、
やはり、おかしいのではないか。
道すがら、大人たちの会話は聞いていると違和感は膨れ上がるばかりだ。
オットーは初めて出会った日から今まで、常に冷静で感情を表立って見せることは殆どなかったように思う。
平穏な日々であれば、少し毛色の変わった人物で片付く。
けれど、命の危機に晒されて、恐怖に支配され、
お互いを疑い合う異常事態の中。
彼は変わらない。――あまりにも、変わらなさ過ぎるのだ]
――……。
[勿論、それだけではオットーが人狼である証拠にはならないが。
リゼットの彼を見る眼差しは疑いのいろに染まりはじめる]