[シモンに頼まれて>>30、もはや習慣のように朝食の支度を手伝う。シモンも恐らくは習慣になってしまったと感じているのだろう。と、その瞳を覗きこんで考える。
このような状況の中で、一定の習慣を保つということは大切なことであるが、簡単そうでいてなかなかに難しい。故に、己にとっても頼まれたから動いているとはいえ一定のメリットが見いだせる行動だった。]
手紙……?ああ、あれのことだね。
[手紙、と聞き、エルナに手渡した手紙のことを思い起こす。]
ヨアヒムに黒い獣が付いている……か。
まず考えるべきなのは、その内容の真偽よりも“ニコラスがエルナに宛てた手紙というものが本当に実在するのかどうか”だろうね。若しくは、僕の見つけた手紙とエルナの部屋にあった手紙が同一のものでない可能性すら十分に考えられる。
伺い知る限りでは、確実に言えることは、“エルナの部屋に手紙があった”ということだけだから。