>>30
[一度止めてしまった手をアイリは掴み、ぶんぶんと振り一方的に放される。
少し笑われたような気がしたが、一瞬だったため気のせいかと思い、とりあえずは無視することにした。
その後、彼女はダンスホールから出ていくのだろう。コートを手に取りそのまま出口に向かうが、こちらに何かあるのかという視線を送られたため、どうしようかと悩む。
ただ、率直に言えば]
(距離感がつかめない子だな)
[子供のように近づいたと思えば、すぐさま離れる。
その行動にこちらもやりにくく、ゲームについて聞こうという欲求がしぼんでいく感じがした。
そして、アイリからの視線に対して「なにもないよ」と教えるために手を振る。
彼女がダンスホールから出て行った後、たばこを手に取り、ただ一言]
面倒くせぇ。
[そう、ぼやいていただろう。]