―日の高く昇る頃―
[階下の何処かから物音>>16>>17が聞こえたように思えて、目を覚ませば、朝というには遅い時間だった。
起き抜けの頭は酷く重くて、男は苛々と舌打ち一つを溢す。
酒を飲み過ぎた後にも似た不快感。
何が原因かは検討のつかないままに、ぎしりと寝床を鳴らして立ち上がったのだった。
戸を開けば、適当に身を繕いながら階下へと向かうけれど、誰かの顔が見えたにしろ挨拶をする気分でもなく、制止がなければ黙って通り過ぎるだろう。
そのまま向かうのは、自宅へと。元々汚れの多さに加えて赤茶けた染みの残る服は、相手によっては見咎められることもあるかもしれないから。
もし、声がかかれば仏頂面の一つでも返すつもりで。]