[誰が教えてくれたのだったやら。
お祖父様とよく商談をしに来ていた威張った髭のおじさんだったでしょうか、それとも、軍服を着たお兄さん?
兎も角、お客様の誰かに教えてもらった歌を。
メロディも、歌詞も気に入った私は事あるごとに歌っていたのです。
その日は、箱庭に飼われた小鳥や栗鼠の前で。
――他に聞いている人が居るなどとは思わずに。
歌い終わって、ふと振り向いたとき。
その場に銀の髪と薄雲の色の瞳>>22を見た私は頬がほんのりと熱くなるのを感じました。]
あなた…は、…?
[常のお転婆模様からは考えられないほど、小さく。
口を動かしただけのような声が出たことでしょう。
幸運なことに、言葉は確りと相手に届いたようでした。]