………あ。[だが、一人の初老の男と目があったことで目を見開いた。ロルト卿―――己の実父だ。相手は、息子に良く似ているが、ご婦人のようだし、と戸惑っているようだった。顔を背けるが、何を思ったか相手は近づいてきた。]『……失礼しました。彼女が最近失踪した知人に似ていたもので、つい』[連れの女性を不躾に見たことを、クレステッドに謝罪するためだったようだ。知人、という言葉に心に暗澹たるものを膨らませながら、黙って顔を背けていた。*]